司馬懿日記

横山三国志好きの我が家の軍師と行った、劇や映画の記録を残しておくための備忘録ブログです

『超進化ステージ「デジモンアドベンチャー tri. ~ 8月1日の冒険 ~」』(Zeppブルーシアター六本木)

友人と数年振りにランチを食べに行こうと計画中に、チケットを入手したのでいかがですか?と誘われた舞台。なので、軍師は不在。

私のデジモン知識は、はるか昔に細田守監督の『劇場版デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』を観ただけなので、キャラどころかデジモンポケモンの区別もつかない初心者以下レベル。なので雰囲気を楽しもう、と気軽な気持ちで観劇。

夏休み中だからなのか、客席に小学生くらいのお子様がちらほらしていて、ちょっとびっくり。本当は親が見たいんだけど・・・・・・、というカムフラージュ要員かと思ったけど、そういうわけでもなさそう。

ちなみに自分たちの前方に席に座っていたお子様は、一幕が終了した時点で母上と共にリタイヤ。劇場の傾斜が緩やかで、後方の座席だったから舞台が殆ど見えなかったのかも。

デジモンはあやつり人形で表現されてて、最初は黒子が気になっていたけど、いつのまにか人形が独立して動いているように認識してた。飛ぶ系のデジモンはずっと飛んでましたよ。ホントすごい。

ストーリーは複雑な話ではなかったはずなのに、キャラの名前が分からないだけに、自分内で複雑化してましたが、なんとか最後までついていけました。

ただ、原作を知っていると色々と感じることがあるらしく、どこからともなく鼻をすする音も聞こえてました。あんなに小さかった○○ちゃんがこんなに成長したなんて、と親戚のおばさん的なカンジかな、と受け取ったけど、私の好きな○○ちゃんを成長させるなんて、きーっ、だったらごめん。

暑かったこともあって、目に付いたお店でお茶を飲んで解散。

軍師へのお土産は、劇場に行く前に和光で買っておいた初エスキスのパン。健康診断までカウントダウン刻んでいるのに、リッチ系のパンなので、購入量を控えめにしておいたよ(当社比)

『子供の事情』(新国立劇場中ホール)

軍師曰く、『おのれナポレオン』以来の当たり劇らしい。

三谷という演出家は、もちろんおもしろい物語も書くのだが、あて書きしたときの役者の配役がとにかくうまい。素直に日本一なのではないだろうか。ナポレン役の野田秀樹ももちろん、『バッド・ニュースグッド・タイミング』での沢口靖子など、沢口のダイコンである部分をダイコンの甘み苦味を壊すことなくすべて舞台上で料理しきって極上の舞台をつくりあげていた。

そういう視点で見たとき、今回の劇はやはり大泉洋が出色だった。『清洲会議』の豊臣秀吉ですでに使った演出方法ではあるが、他の演出家がやることができない「大泉洋って、いい人っぽく見せてるけど絶対嫌な奴である裏の顔があるよね」という観客の気持ちを見事に掬い上げ、一見いい人に見えるけれど裏があり、その仮面が徐々に剥がれていく、という役を大泉にあてている。これが素晴らしい。大泉も難しい役をよく演じ切った。

一時期足で書いたような脚本を連発していたが、ここ最近の三谷はよく持ち直した。次が楽しみ、だそうな。

 

あのレースっぽい絵が書けるやつにスピログラフという名前があることをこの劇で知った。今の小学生女子も使ってるのかな?

主役クラスの役者さんをたくさん使ってのコメディだったので、普段観てる劇とは段違いのゴージャス感に溢れてた。上演時間も長かった割りに、中だるみもなく最後まで楽しめた。やはり三谷はチケット代が少々高くても行く価値があるなー、と実感した。

初、伊藤蘭は小さな方でびっくり。華奢なイメージだけど、もう少し大きいと思ってた。テレビでしか見たことなかったし、キャンディーズは絶対的アイドルで偉大だったから、記憶が改変されてたのかも。

久々の初台だったのに、日曜日にチケット取っておけば【サンデーベイクショップ】に寄れたのになー、とちょっとだけ後悔。

『FILL-IN~娘のバンドに親が出る~』(紀伊國屋ホール)

軍師曰く、後藤ひろひと吉本新喜劇に行ってよかったんじゃないか、だそうな。

後藤のつくる物語は、通常、上滑りする男のカッコよさ、外部から見たその男の姿の滑稽さ、それら全体を客観的に俯瞰したときの状況のせつなさ、等々を提示して、最後にちょっとした涙で締める。

ダブリンの鐘つきカビ人間』など、世間で評価されている演劇では、これらの要素が見事に絡み合いいい塩梅なところに落ち着いている。ところが、Piperの頃の後藤は、もちろん上滑りすることまで(後藤は)理解しているが、どちらかというと理解してもらえない男側に寄り添ってそのせつなさを描いてしまっており、男の在り様にストレートに感情移入できない観客は置き去りにされていた。

それが、今回の劇では、「格好いい男」のことを、まるで理解しない一般の愚民側に寄り添って描くようになっていた。主張していることはまったく同じなのだけれど、それにより、Piper時代よりも滑稽な男のせつなさがすっとこちらの胸に入ってくるようになったのだ。

もちろん役者の技量もあるだろう。

いい出会いというのはあるものだ。これからも、たまには東京で劇をしてほしい、だそうな。

 

私は関西出身なので、小学生時代の土曜日のお昼ごはんは、テレビの吉本といつも一緒。

だから内場さんって若手のイメージだったけど、久々に見たら貫禄のあるお年頃でしたよ。めだか師匠にいたってはもう70代だそうな。刷り込みってすごいね。「人をシャム猫みたいに~」のギャグ大好きだったので、めだか師匠が出てるだけで満足。

この日の日替わりゲストは秋元真夏さん。乃木坂46というグループが人気があることしか知らなくて、個体認識をまったくできないのだけど、小さくてかわいい方でした。

空腹だったので観劇前に【紀伊茶屋】でほうじ茶のソフトクリームをうまうま。初めてほうじ茶スイーツを食べたけど、濃くて美味しかったので、次に銀座に行くときは、いつも行列を横目に見てたGINZA SIXの【中村藤吉本店】に行ってみようと心に誓う。

サムゴーギャットモンテイプ『おうちにかえるオブザデッド』(東中野RAFT)

軍師曰く、タイトルから『大怪獣東京に現る』のゾンビ版かと勝手に思ってワクテカしていたら『北の国から』を水で薄めてカルピスウォーターくらいのさらさら加減にしたやっすい人間ドラマ+ちょっとだけゾンビを見せられてがっかりしたとのこと。

手垢のつきまくっているゾンビものだけに、昨今はどのような新機軸をぶちこむかということが注目点になる。が、『北の国から』がゾンビなしでも十二分に描いていたような人間関係の軋轢に、気持ち程度のゾンビ成分を足したところで、そのゾンビ成分はなぜ必要だったの? という話にしかならない。

遠方で発生した「なにか」の象徴としてのゾンビが、地方在住者のサークル内に知らぬうちに入り込み生活が劇変する一瞬を描いたのが今回の劇だとして、なぜその人物は死を選ぶのか、この場における死の象徴とはなんなのか、なぜ生き残った女性たちはたくましく変貌しているのかなどなど、敢えてゾンビを使う以上、物語の中で暗喩として使っておかなければならないモチーフは山積みである。にもかかわらず、安易な人間ドラマに解を求めてしまい、もっとも重要であるはずのゾンビパニック前後の価値観の転換点について、作り手が熟慮した形跡が伺えないことが残念だ。

今回の劇がゾンビである必要はなかったし、かといって、ゾンビ物特有の良さを描くためにこの状況を敢えて選んだ、という風にも感じられなかった。それならば、登場人物が次々死んでいくとして、「また死んだね」「死にましたね」で流していくなどしたほうがまだ現代的に感じるんじゃないか……だそうな。

 

初めての劇団、初めての会場。

日差しが強い日に日傘もなく歩いていたので、軽い熱中症っぽくなって劇場についたときには結構へろへろ。

平日の昼公演だったのに、狭い会場とはいえ、ほぼ満席だったけど、皆様なんの仕事に就いているのかな?

帰りに中野に出て、【ツイテル (Tsui-teru!)】で熟成肉でうまうま。店内で流れてるVTRのカラスの少年のエピソード好き。適材適所っていいよね。

KENTARO KOBAYASHI SOLO PERFORMANCE『 ポツネン氏の奇妙で平凡な日々 2017 』(あうるすぽっと)

軍師曰く、おもしろかったが、「無言劇は自分には合わない」そう。

もしも、小林賢太郎が、今回の劇のような言語の介在しない茫洋としたイメージで演劇をつくりはじめ、その後に言語をあてはめて脚本を書いているのだとしたらすごいことだ。

今回の劇は過去にフランスで好評を博したそうで、言葉の壁を越えてマイムと舞台装置だけでイメージを伝える力はすばらしい。が、そうした演劇に敢えて言語を当てはめ、伝わる範囲を(その言語を理解できる人限定まで)狭めた上で、暗喩等の重層化を図ってくれたほうが軍師の好みだとのこと。

 

 私は物語が好きなので、無言劇は苦手ということが判明。

カーテンコールで小噺をされていたんだけど、最後の締めが本当に良くって、ちょっとほろっとしちゃった。

小林先生、早く次のコントが観たいです。

『ALL OUT!! THE STAGE』(Zeppブルーシアター六本木)

軍師曰く、西田シャトナーの演出技法は、他の演劇技法よりも役者の技量が劇の出来・不出来に直結するらしい。

ALL OUT!!』の物語自体はよくできたスポ根物であり、脚本そのものに特筆すべきところはないが、だからといって不可でもなく普通におもしろい。しかし、役者の分だけ『弱虫ペダル』より落ちた感じがしたし、それを言うなら、『弱虫ペダル』でも初期のメンバーのほうがよい劇として成立していたように感じる、そうである。

劇場における演劇は、役者の持つ「本人と役」という二面性、演劇の持つ一回性、そこから導かれる舞台上と観客の共犯関係など、通常のドラマや小説に比べてマンガっぽいお約束事が成立しやすい場である。TVドラマではできない、「コマ外に作者が書いたひとこと」ですら、特にメタフィクションにすることなく舞台は容易に実現する。そうしたお約束事を最大限に利用する演出家である西田シャトナーは、マンガやアニメが元になった2.5次元劇にわりと向いているといえる。

が、2.5次元劇はB級風味のイケメン俳優が主で舞台としてのおもしろさは従であるが故に、軍師がいちばん好きな『熱闘!! 飛龍小学校』ほどの完成度を望むのは難しいのかなあ、と悲嘆していた。

 

原作の『ALL OUT!!』を未読で観劇。

物語は普通に面白かったんだけど、『弱虫ペダル』のときはハンドルだけでも自転車っぽく感じたのに、ラグビーがわからないからか、ただラグビーボールを持ってるとしか思えなくて、没入感にかけた。あと2.5次元なのに、ふくよかな役者さんがいたのは新鮮だった。ま、ラグビーやってて細い人だけって不自然だよね。

初めてのブルーシアターだったんだけど、看板が出てるのに道がないし、坂がキツイしで到着までに一苦労。今年の11月で閉館だしもう行くことはないかな。

観劇後に【浪花家総本店】に寄ってたい焼きを買って帰る。相変わらずうまうま。あんこのある国に生まれてよかった。

イキウメ『天の敵』(東京芸術劇場シアターイースト)

軍師曰く、前川知大はホラーの演出がうまくなっている気がする。

今回の劇の元ネタとなった短篇劇よりもおもしろくなっている、そうだ。話自体は短篇のときと変わらず、長くなったぶん内容が深くなったわけでも登場人物個々人の掘り下げができたわけでもない。ただ、一見関連のなさそうな話をいくつか提示しておいて、最後にまとめてテーマっぽいものを感じさせるやりかたが『奇ッ怪』を経ることでずいぶんと上達した印象を受ける、らしい。

もともと前川の持ち味は、スイーツ風味+ドラえもんライクなすこし不思議、であり、女子力高めのふわっとした話の中になんとなく影のように見えるテーマ性的なものが、ただのスイーツ話でもなく、かといってマニアしか褒めないコテコテのSFでもない、前川独自の良さ/売りとしてごく初期から確立されていた。

ところが、ここ数年の前川作品は、あまり本人の作風とあってないブンガク風味に傾倒しており、新潮群像あたりを読んでいそうな爺さんが喜びそうな手垢のついた古くさいモチーフを使った挙句、ではそれらのモチーフが深い人間性を描いているとかというとそんなこともなく、旧来の前川作品にあったふわっとした良さを打ち消しているだけという体たらくだったのだが、やっと肩の力が抜けていい按配のところに着地したようにも見える(ところで、かれこれ10年ほどこの劇団を見ているが、客席からスイーツ女子勢が減り筋の悪そうなおっさんが増えたように軍師は感じているようだ)。

次の劇がすこし楽しみになった、そうだ。

 

2010年に上演された、『図書館的人生 Vol.3 食べもの連鎖』、『人生という、死に至る病に効果あり』を長編化したもの。基本的に軍師は同じ話を観ることがないので、2010年に観てるけどどうするのかな?と思ったけど、珍しく観ると言ったので、行ってきた。

余談だけど、同じ『図書館的人生 Vol.3 食べもの連鎖』の中の、「いずれ誰もがコソ泥だ、後は野となれ山となれ」の万引き犯だった安井順平がすごくすごく好き。ぜひ次の機会はこれを長編化してほしい。偶然、会場で軍師のご友人夫妻とばったりお会いしたので、観劇後に夕食。浜田信也がなんか格好良くなってない? と女子トークも弾んだ。最近こういう女子会のノリがなくなってきたので、新鮮。

次回は『散歩する侵略者』なのでこちらは観ないのでチケット取らず。一人で行ってもいいかなと思ったけど、三茶なのでやめ。

映画もあって忙しいのだと思うけど、完全新作が観たいなー。