『FILL-IN~娘のバンドに親が出る~』(紀伊國屋ホール)
軍師曰く、後藤ひろひとは吉本新喜劇に行ってよかったんじゃないか、だそうな。
後藤のつくる物語は、通常、上滑りする男のカッコよさ、外部から見たその男の姿の滑稽さ、それら全体を客観的に俯瞰したときの状況のせつなさ、等々を提示して、最後にちょっとした涙で締める。
『ダブリンの鐘つきカビ人間』など、世間で評価されている演劇では、これらの要素が見事に絡み合いいい塩梅なところに落ち着いている。ところが、Piperの頃の後藤は、もちろん上滑りすることまで(後藤は)理解しているが、どちらかというと理解してもらえない男側に寄り添ってそのせつなさを描いてしまっており、男の在り様にストレートに感情移入できない観客は置き去りにされていた。
それが、今回の劇では、「格好いい男」のことを、まるで理解しない一般の愚民側に寄り添って描くようになっていた。主張していることはまったく同じなのだけれど、それにより、Piper時代よりも滑稽な男のせつなさがすっとこちらの胸に入ってくるようになったのだ。
もちろん役者の技量もあるだろう。
いい出会いというのはあるものだ。これからも、たまには東京で劇をしてほしい、だそうな。
私は関西出身なので、小学生時代の土曜日のお昼ごはんは、テレビの吉本といつも一緒。
だから内場さんって若手のイメージだったけど、久々に見たら貫禄のあるお年頃でしたよ。めだか師匠にいたってはもう70代だそうな。刷り込みってすごいね。「人をシャム猫みたいに~」のギャグ大好きだったので、めだか師匠が出てるだけで満足。
この日の日替わりゲストは秋元真夏さん。乃木坂46というグループが人気があることしか知らなくて、個体認識をまったくできないのだけど、小さくてかわいい方でした。
空腹だったので観劇前に【紀伊茶屋】でほうじ茶のソフトクリームをうまうま。初めてほうじ茶スイーツを食べたけど、濃くて美味しかったので、次に銀座に行くときは、いつも行列を横目に見てたGINZA SIXの【中村藤吉本店】に行ってみようと心に誓う。